原子力

核分裂

放射性物質 核融合 天然原子炉 
原子とは 核分裂とは 核分裂で生まれる中性子 核分裂性物質 核分裂連鎖反応 核分裂のしくみ 原子力発電と原子爆弾の違い 半減期とは

内閣府原子力委員会
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/sonota/study/aecall/book/pdf/siryou1.pdf



1.原子力エネルギー
原子とは
原子は、図のように、約 1 億分の 1cm の大きさで、約 1 兆分の 1cm である原子核と呼ばれる中心部と周囲(軌道)の電子で構成される。さらに、原子核は、陽子と中性子とそれらを結び付ける働きをする中間子などで構成されている。






核分裂とは
ウランやプルトニウムなどの原子核が、中性子を捕りこむ(吸収する)ことなどによって、ほぼ二つ(まれには三つ以上)の原子核(核分裂片)に分裂する現象を原子核分裂という。
中性子の吸収による核分裂では、1核分裂当たり2億電子ボルト(=200MeV)程度のエネルギーを放出する。このとき、2個または3個程度の中性子が放出される。それらの中性子が次の核分裂を呼び起こすようにして、連鎖的に反応を継続させながら、放出されるエネルギーを得る装置が原子炉である

・核分裂で生まれるエネルギー
核分裂の際に放出されるエネルギーは、核分裂する原子核の種類によって異なるが、核分裂片の運動エネルギー、核分裂中性子のエネルギーおよびγ線やβ線のエネルギーなどで、約 190-250MeV(1 億 9,000 万-2 億 5,000 万電子ボルト)である。反応が異なるので単純には比較できないものの、同じ 1 グラムの質量から得られるエネルギー量として比較すると、石油や石炭の燃焼で得られる化学反応のおよそ 300 万倍に相当する膨大なものである。

核分裂で生まれる中性子
中性子は、陽子とともに原子核を構成する素粒子であるが、陽子がプラスの、 電子がマイナスの電荷であるのに対して、電荷が 0 であることから名付けられた。
電気的に中性なので原子核内に入りやすく、核反応を起こさせるために使われる。 中性子が持っているエネルギー(または速度)によって分類され、熱中性子は約 0.025eV、高速中性子は 100keV 以上である。
核分裂をすると中性子が飛び出すが、核分裂直後に放出される中性子を「即発 中性子」という。一方、核分裂片である生成物の一部には、みずから中性子を放 出するものがあり、これを核分裂による放出中性子の一部とみて、「遅発中性子」 という。

ウラン 235 の核分裂の場合、99%は即発中性子として核分裂直後に放出され るが、1%ほどは遅発中性子が放出される。遅発中性子を発生する核種は約 30 種 類あり、遅発中性子は 0.2 秒 から 1 分近く遅れて放出されるので、原子炉の制 御に重要な役割を果たす。→次項の「臨界」を参照

核分裂性物質とはどのようなものか
ウラン 235、プルトニウム 239 などのように、その原子核に中性子をとりこんで核分裂する性質の物質をいう。熱中性子(低速中性子)で効率よく核分裂し、天然に存在する元素ではウラン 235 のみで、人工のものとしてはウラン 233、プルトニウム 239 などがある。

・臨界と中性子実効増倍率
核分裂が連鎖的に反応する場合において、中性子の生成と消失の均衡が保たれている状態をいう。臨界状態すなわち均衡を保つためには、原子炉では、中性子の消失・発生量の比率である中性子実効増倍率(k-eff)が重要な要素の一つになる。臨界のときは、その値が1である。
通常、臨界というときには、即発中性子と遅発中性子の総量について考慮する。
臨界に達するのに遅発中性子が必要なことを強調するときには、遅発臨界といい、即発中性子のみで臨界になることを即発臨界という。
なお、臨界に達しない状態を臨界未満又は未臨界といい、臨界を超えた状態を301臨界超過又は超臨界という。原子炉が臨界になるには、ある程度の核分裂物質の量の大きさが必要で、燃料や減速材の性質、幾何学的配置なども大いに関係する。

核分裂連鎖反応とは
反応が、他からエネルギーの供給を受けることなしに連続して起きる場合に、その反応を連鎖反応といい、原子力では核分裂の連鎖反応のことをいう。
原子炉では、ウラン、プルトニウム等の核分裂性物質が中性子を吸収して核分裂反応を起こすとともに、新たに中性子が飛び出す。その飛び出した中性子の中で、次の核分裂反応に寄与する中性子の数と核分裂反応の継続に必要な中性子数が等しくなくなると、核分裂反応は、外から中性子を補給することなしに継続する。すなわち、臨界に達し、連鎖反応が続いている。
原子炉では必要な出力で一定レベルの連鎖反応を行わせるため、制御棒(中性子吸収材)で中性子の量を制御している。


核分裂のしくみ
軽水炉における原子力発電では、ウラン235などの核分裂しやすい物質を燃料として使用します。天然ウランには核分裂しやすい「ウラン235」が約0.7%、核分裂しにくい「ウラン238」が約99.3%含まれています。発電時に用いるウラン燃料では、「ウラン235」を3?5%の「低濃縮ウラン」にして使用します。
核分裂反応は、ウラン235やプルトニウム239に中性子がぶつかることによって起こります。いったん、核分裂反応が始まると、次々と連続して反応が起こり、熱エネルギーを発生します。また、原子炉内で、燃えないウラン238が中性子を吸収することによりプルトニウムが生まれます。このプルトニウム239は核分裂性なので、さらに中性子を吸収すると核分裂し熱エネルギーを発生します。このように原子炉の中では、ウランとプルトニウムが同時に燃えています。


核分裂連鎖反応-原子力発電と原子爆弾の違い





















半減期とは
放射性核種の壊変により、放射能(2.①参照)は、指数関数的に(1/2→1/4→1/8→1/16というように半減期は10倍の時間後には 1,024分の1に)減少する。
放射能の強度が元の半分になる時間を放射性半減期、略して半減期という。














・核分裂生成物・アクチノイドの半減期
ウラン(U)、プルトニウム(Pu) アクチノイドと主な核分裂生成物の半減期





















⑥ 原子力発電の原理(火力発電との違い)
原子力発電は、蒸気でタービンを回して発電する点では火力発電と同じ。違う点は、火力発電ではボイラーで、化石燃料を燃焼させた熱で蒸気を発生させているのに対して、原子力発電ではボイラーの代わりに原子炉で、ウランを燃料とした核分裂エネルギーによる熱で蒸気を発生させている。
















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